ピロリ菌とは
ピロリ菌は大きさが1000分の4mmとごく小さな、らせん状の細菌で、正式名称はヘリコバクター・ピロリといいます。国内の感染者は約3500万人と推察されており、主に幼少期に口から感染し、胃の粘膜にすみつくと考えられています。ただし、ピロリ菌が 胃に定着しているといっても、常に症状が現れるということはありません。症状が出るのはピロリ菌が原因で胃・十二指腸潰瘍などの病気が発症したときのみで、それもピロリ菌保菌者の約3割程度と言われています。残りの7割の人はピロリ菌が胃に定着した状態でも何の症状も現れません。
しかし、ピロリ菌が胃の粘膜にすみつくと胃の粘膜に炎症を引き起こし慢性胃炎となり、加齢とともに徐々に進行して、多くは胃の粘膜が萎縮する萎縮性胃炎という状態となります。胃がんが発生するのは、ピロリ菌が感染して炎症をおこした胃粘膜からがほとんどであり、萎縮性胃炎が進行すると胃がん発生の危険性がより高まります。
ピロリ菌を除菌することで、胃の炎症が徐々に軽快し、萎縮性胃炎も改善する傾向があり、胃がんの発症が抑制できることが明らかにされています。2013年から内視鏡検査でピロリ感染胃炎と診断されれば、保険診療で除菌治療を受けられるようになり、ピロリ菌を除菌して胃がんを撲滅しよう!と言われるようになりました。若い方も自覚症状の有無にかかわらず積極的にピロリ菌の除菌を行うことが推奨されます。
Q.ピロリ菌を除菌しましたが、その後胃カメラ検査を受ける必要がありますか?
はい、あります。
胃がんの主な原因がピロリ菌だから、ピロリ菌を除菌すればもう胃がんにはならないのでしょうか?それは誤解です。除菌で胃がん発生の危険性が下がることは確かですが、ゼロにはなりません。さらに、ピロリ菌除菌前の胃炎の状態が進んでいるほど除菌後も胃がんのリスクはより高く残ります。ピロリ菌がいなくなった時点で、すでに検査で発見できない極めて小さな潜在的ながんができてしまっていることなどがその原因と考えられています。
ピロリ菌の除菌により胃がんの発生や死亡率を減らす効果が期待される一方、除菌が成功して安心し、胃がん検診を受けなくなるケースがあり問題となっています。除菌が成功しても定期的な内視鏡(いわゆる胃カメラ検査)が必要で、特に萎縮性胃炎がある場合はより注意が必要です。早期に胃がんがみつかれば胃がんで死亡する危険性は極めて低いことからも、ピロリ菌除菌後にも定期的に内視鏡をうけることが極めて重要です。
- 院長
- 黒沢孝光
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- 内科,消化器内科
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千葉県市原市ちはら台南2-32-2
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